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As I expected! [News]

WNの新作『World Tour: Best Collaboration Songs』が昨日発売されましたね!

 もう感動して鳥肌総立ち!ブログを書くのも忘れてましたよ!!

 ワールドツアーのために計算されたラインナップとWNトークは魅力満点。新旧のファンも意識しながら曲を選んでいるので、誰でも楽しめる!それにトークの内容は、量子物理学から下ネタまで網羅している!彼らの知識にも驚かされるが、ここには書けないような下ネタの嵐は、性別年代関係なく愛されるものだと思いますね。はい。

 ファンなら買うべきですね。はい。

 買わないと後悔するレベルの出来です!

 ちなみに、もう一枚のアルバムの発売日はまだ未定です。ダカヒーとの権利問題は長引きそうで、もしかすると年末または来年の発売になるかもしれませんね。

 楽しみにしているアルバムなので、早く発売されることを願っています!



(以下はハヤオ関連です…)

 あれほど呼びかけたのに『返報』を読んだ人がいたらしく、ハヤオの野郎がスピンオフを書き始めました。

 第一話の制作に強制参加させられてますが、「本当に『返報』のスピンオフ?」って思う内容です。完全に別の物語に見えますが、ハヤオ曰く「1話は完全にオリジナルだから、(『返報』の)没ネタは使ってない。それに、『返報』を見てなくても楽しめるようにしたいから、序盤は全く関連性が見られない。」とのことです。

 でも、個人的には『返報』もスピンオフも楽しめていないので、どーでもいいんですけどね…

 ちなみにタイトル未定(ハヤオがなんか言ってた気もするけど…)のスピンオフ第1話は、このブログまたは裏ブログで公開することになりました。詳細は追って書くかも…

 それじゃ!
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ハヤオの暴走 [その他]

WNファンの方には申し訳ありませんが、この記事はハヤオ関連のみです)

 ハヤオの野郎がツイッターに「『返報』のスピンオフでも書くかなぁ~」的なことを書いていましたが、現段階では公開の予定はありません。はい。

 つまり、身内の間で拡散する可能性が高いです。

 奴は『銀河極小戦争』も某通販サイトで売るつもりですし、『返報』もある一定のロイヤリティに達すれば続編を書く気らしいです。

 いないと思いますが、ハヤオの物語をこのブログを通して読んでる方々にはできるだけサービスを提供できるよう頑張って行きます。別の言い方をすれば、ハヤオのモチベーションを砕くためには皆様の力が必要なのです。

 『返報』のスピンオフにはあまり関わっていないですが、企画的には2本あるそうです。一つは本編から7年後の東京、二つ目はその5年後の東南アジアが舞台だそうです。

 ゆえに見慣れた顔は出てこないでしょう。大分前に聞いた話では、この2本が『返報』の続編に関わるらしいので、スピンオフから書くんでしょうね。はい。

 いずれにせよ、読めば後悔することになるのでブログに掲載しないよう努力します。皆さんも私と共にハヤオの野望を止めましょう。

 それじゃ!
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ジャケット公開! [News]

 遂にWNのニューアルバム一枚目『World Tour: Best Collaboration Songs』の発売日とジャケットが公開になりました!


 world tour.jpg


 もう忘れている人もいるのと思うので、収録曲をもう一度紹介しますね。

『World Tour: Best Collaboration Songs』
1. Opening(Nによる開会式)
2. 緑色のカレーライス feat. a Man from Thai (タイ在住の男性)
3. 歩道橋 ~English ver.~
4. H.O.K.U.R.E.N feat. Madagascan Street Boys(マダガスカルの路上にいた少年たち)
5. となりのG3 ~バトスピ団 ver.~
6. 野球拳ゲーム大会
7. B.B. Snow ~三代目G3バンドブラザーズ ver.~
8. 漢 -the man-
9. Japanese in Bhutan feat. unknown singer in Bhutan(名前の分からないブータンの歌手) 
10. 紅のN ~バトスピ団 ver.~
11. バトスピ団 とWNによるトークショー(日本語)
12. 二代目ペルセウス ~Spanish ver.~
13. Ending (G3による閉会式)


 豪華すぎる曲でもう楽しみですね!
 発売日は5月20日に決まったそうです。しかし、もう一枚の方はやはり、ダカヒーとの権利問題で少し延期になるようですね。
 今年中には発表になるといいなぁ~。

 続報が入り次第、更新していきます。
 それじゃ!





(ハヤオ関連ですので、WNファンには関係ありません)

 ハヤオの野郎が勝手に『返報』の下巻を発売しました。でも、4月13日には「無料」になるので、気になる方はその時にダウンロードしてください。
 全ては『返報』の続編とスピンオフを砕くためです。みんなで頑張りましょう!
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もう不定期更新ですよ [その他]

 もう不定期更新になりそうですよ。

 色々と忙しので、WNの情報を頻繁に更新できないと思います。はい。

 今日はハヤオに関するお知らせなので、WNの方々には申し訳ありませんが、ページを閉じてください。ゴミのような記事ですから…

 『返報』の下巻が、4月13日(金曜日)に某インターネット通販サイトの電子書籍で発売されるようです。初日限定で上下巻が「無料」配信となりますので、是非!この日にダウンロードすることをお勧めします!買ってまで読む価値はないです!そうすれば、続編やスピンオフの計画が白紙になります。私の仕事も減るので、皆さん、ハヤオの野望を砕くのに協力してください。

 上巻でチロルチョコ〇〇個分のロイヤリティが発生したらしいので、私はもうやる気なしです。

 まぁ、いずれにせよ『銀河極小戦争』が再開するらしいので、興味のある方はハヤオのツイッターとかを見てやってください。

 それじゃ!

 
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宣伝に使われるブログって… [その他]

 WNが新アルバムの発売を今年の夏に延期してしまい、私はもう気が狂いそうですよ…

 これに加えてハヤオの手伝いまでさせられるとは…

 今日は編集中の『返報』下巻について書くことになりそうです。はい。

 一応、編集に加われば、チロルチョコくらいは貰えそうですしね…

 ブログ版を読んでいれば、もう結末も知ってると思うので、電子書籍版は読まなくてもいいでしょう。しかし、下巻には「ほんのちょっびっと」だけ付け足したシーンがありますね。はい。

 ブログで公開していた時はカット、というよりは変更したストーリーラインを復活させた感じです。上巻を読んだ人なら分かると思いますが、武田衛と一緒に活動していた『内山』という男は、まだ電子書籍版では生きてます。ゆえに彼の物語が第12話(ブログ版の第11話)に入ります。

 また、もう一つのエンディングも付け足そうか考えてます。ブログ版はハッピーな感じだけど、ハヤオの原案では○○は小野田に、○○は守谷に殺されてましたね…

 長くなりましたが、『返報』の下巻は4月に発売予定です。

 でも、発売初日は上下巻とも無料で配布するので、ブログ読者の方はその時を狙って某ネット通販サイトで読んでください。

 それじゃ!
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発売延期? [News]

 久々の更新ですが、WNのアルバムが発売延期になった模様です。

 なんでもCDのジャケットが、とあるアーティストの物と似ていたからだそうです。はい。

 そこは話題になるから突き通せばいいのに…

 でも、そういうところに気配りできるWNって、やさしいですよね。多分…

 別に弱小レーベルだから止めたとかではないですよ!きっと!

 短いけど、それじゃ!




(もう無いと思ったハヤオ関連です。)

 『返報』はブログ版は終わりましたが、和訳すると「点火する」になる場所では上下巻として販売されることになりました。

 上巻はもう出てますが、下巻は4月くらいに出ると思いますね。はい。

 内容はあまり変わらないので、購入する必要性はないと思います。はい。

 今後はスピンオフか『銀河極小戦争』に重点が置かれると、ハヤオがほざいてます。期待せずに待ちましょう!
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返報 14-6 (終) [返報]

14-6






 二人のSP に連れられて小田完治は路地に逃げ込んだ。

 目的の空港まで残り2kmだが、襲撃者から逃れるために三人は遠回りすることにした。道中、爆発と銃声を耳にして窓から顔を出したり、携帯電話を持って家の前をうろうろしたりする近隣住民を見た。住民は小田とSPには目もくれず、遠くから聞こえてくるサイレン音を聞きながら、騒音の原因を探ろうとしている。

 人目をできるだけ避けるため、三人は薄暗い路地に入った。しかし、走り続ける小田完治の両脚が悲鳴を上げ、また、息も上がって倒れる寸前であった。

 「く、くる…車は…ない…のか?」か細い声で小田完治が両脇で彼を支えるSPに尋ねた。

 「もうすぐ大きな通りに―」

 小田の右側にいたSPの声を遮るように断続な銃声が聞こえ、議員の左脇を抱えていたSPが呻き声を上げて片膝をついた。彼は腰と臀部に被弾し、白いワイシャツと黒いスラックスに血が滲み始めた。

 もう一人のSPが警護対象者を庇いながら拳銃を抜いて振り返り、短機関銃を持って歩み寄る三須を目撃した。素早く発砲したが、襲撃者の出現に怯えて座り込む小田完治が彼の上着を引いて狙いが左にズレてしまった。胸部に向けて放たれた銃弾は三須の右肩をかすめた。再び引き金を引こうとした時、被弾した仲間が襲撃者に向けて発砲を開始した。

 「ここは任せろッ!」被弾した箇所を気遣いながら片膝をついて銃撃を行うSPが叫んだ。
銃弾を避けるため、三須が電柱の陰に隠れてMP-5Kの再装填を行った。

 「すぐ戻ってくるッ!」議員を立ち上がらせ、もう一人のSPが警護対象者と共に走り出した。

 それを見た三須は邪魔者を排除しようと、発砲してくるSPに10発以上の銃弾を浴びせた。勇敢に時間を稼ごうとしたSPは首と胸に6発の鉛の弾を受け、弾かれたように背中から地面に倒れて息絶えた。死んだSPを横目に三須は逃げた標的を追った。








 左手で特殊警棒の柄を掴み、親指でストラップを弾くと勢い良く警棒をホルスターから引き抜いた。そして、素早くそれを展開させ、中島は伸び切った警棒を後ろへ大きく振った。

 手探りで放った一撃であったが、この攻撃はSAT隊員の首を絞めていた守谷の頭部に直撃した。激しい痛みにテロリストは苦悶の表情を浮かべ、パラシュートコードを引く力が少し弱まった。

 呼吸が少し楽になり、中島が再び警棒を振った。しかし、今回は標的を外してしまった。飛んでくる警棒を見るなり、守谷が身を逸らして回避行動に出た。愚かにも額に切り傷を持つ男は、攻撃を避ける際に左手をパラシュートコードから離した。この瞬間にSAT隊員が振り返りながら、警棒の柄で守谷の左膝横を殴った。守谷が呻き、前屈みの姿勢になる。

 相手に反撃、そして、防御の隙を与えず、中島は警棒を振り上げてテロリストの顎を殴った。予期せぬ下からの攻撃に守谷は姿勢を崩し、右手もパラシュートコードから離して3歩後ろへ下がった。その間にSAT隊員は立ち上がり、首に巻き付いていた紐を取って激痛に目を閉じて悶えているテロリストに投げつけた。

 攻撃を受け過ぎた守谷は投げつけられた紐にまで過剰に反応し、両拳を大きく振って中島を殴ろうとした。しかし、相手は彼の間合いの外にいた。厳密に言えば、腕の届く場所にはいなかった。テロリストの攻撃に怯まず、中島は右前蹴りを守谷の腹部に叩き込んだ。この攻撃は相手の腹部に深く入り、額に切り傷を持つ男の動きが完全に止まった。

 SAT隊員が左上から斜めに警棒を振り下ろして守谷の頭を殴り、その勢いを利用して右上から相手の左膝に向けて振り下ろした。素早く重い打撃を二度も受け、テロリストは両膝を床についた。また、間を置かずに中島の右膝蹴りが守谷の左側頭部に叩き込まれ、守谷は右側にあった壁に頭部を強打した。この時、激しい怒りが額に切り傷を持つ男の中で爆発した。

 守谷は雄叫びを上げ、最後の力を振り絞ってSAT隊員に襲い掛かった。しかし、大声に動じるほど中島は臆病ではない。彼はテロリストが繰り出してきた左拳を右へ移動し、回避しながら警棒を守谷の胸部に打ち込んだ。左に続いて右拳を出そうとしていた守谷の動きが止まり、中島は警棒の柄で相手の右側頭部を殴った。この一撃で額に切り傷を持つ男の意識は薄れ、力の抜けた彼の体は重力に引っ張られた。だが、倒れる前にSAT隊員が再び警棒の柄で守谷の右側頭部を殴り、そのまま壁に叩きつけた。

 完全に意識を失ったテロリストは重力に引き摺られて床に落ちたが、着地する前に後頭部を警棒の先端で殴られた。床に崩れ落ちた守谷は、最後の一撃を受けて血の混ざった泡を吹きながら体を痙攣させた。

 そのような姿を見ても、中島の心に後悔や憐みの気持ちはなかった。乱れた呼吸を整えることもできたが、中島は急いで荒井のところへ走り、重たい大男の死体を横に退かせた。

 若いSAT隊員の顔は月明りに照らされて青白く、左脚の傷口の周りに小さな血だまりができていた。

 焦らずに中島は荒井の首筋に二本の指を置いた。指先に微かな振動を感じ、東京から来たSAT隊員は安堵してその場に座り込んだ。しかし、外で交戦している仲間のことを思い出し、特殊警棒を支えにして立ち上がった。

 疲労と痛みが全身を駆け巡っていても、中島は素早く荒井を安全な場所へ移動させるため、若い隊員のベストを掴んだ。その時、近づいてくる複数の足音を耳にした。中島は荒井の手に握られていた弾切れの拳銃を取り、急いで若いSAT隊員のホルスターから5発の銃弾が入った最後の弾倉を装填すると遊底を元の位置に戻して構えた。

 足音が二人に近づく中、片膝をついて中島は前方と後方へ交互に視線を配った。息を押し殺し、神経を尖らせていると足音が消え、17メートルほど離れた曲がり角から素早く頭が出るのを見た。この時、危うく中島は引き金を絞るところであった。

 「味方か?」曲がり角にいる男が大声で尋ねた。

 「増援か?」中島は質問で返した。

 「そうだ。」

 この時、東京からSAT隊員は背後から物音を聞き、振り返って引き金を引いた。銃弾が背後から接近していたSAT隊員の防弾ベストに命中し、撃たれた隊員は一歩後退して衝撃に耐えた。援護に来た隊員の顔には驚きの表情が浮かんでおり、彼の背後にいた仲間も中島の素早い反応に驚いていた。

 仲間の姿を確認するなり、東京から来たSAT隊員は急いで床に落として両手を上げた。

 「中島さんですか?」撃たれた隊員が訊いた。

 「そうだ。胸は大丈夫か?」

 「ベストのお陰で問題ないです。」防弾ベストを軽く叩きながら、撃たれた隊員が応えた。

 荒井が起き上がり、自分と中島を囲む同僚たちを見て驚いた。

 「アイツらは…どうなってんですか?」荒井が中島に尋ねた。

 「大男は死んだよ。もう一人は瀕死状態。外の連中も片付いたらしい。」と東京から来たSAT隊員。

 「それじゃ…」

 「オイラたちの仕事は終わり!あとは他の人たちに任せよう。」そう言って、中島は仰向けに倒れて両目を閉じた。








 「遅かったですね。」もくもくと黒煙を吐き出す乗用車に群がる野次馬を見て小川が言った。

 「だね…」藤木が空返事を返した。

 二人は20メートルほど離れた場所に停めた車の中から様子を窺っていた。

 「どうするんですか?」女性捜査官が心ここにあらずという態度の上司の方を向いた。

 「SATがもうすぐ到着するし、そろそろドロンしよう…」

 下唇を軽く噛んで小川が車を走らせた。

 「何であのSAT隊員に肩入れするんですか?」女性捜査官が胸に留めていた疑問を藤木にぶつけた。

 「中島さんのことかい?」窓の外を流れる景色を見ながら藤木が訊いた。

 小川が頷く。

 「同期だし…」藤木がヘッドレストに頭を置く。「それに、返し切れていない大きな借りがあったし…」

 「何の借りですか?」

 「私の代わりに亡くなった若者がいてね…」









 疲れ果てた小田完治が地面に座り込んだ。

 「も、もう…ダメだ…」

 「もう少しの辛抱です。」SPが議員の腕を引いて立ち上がらせようとしたが、小田はそれを振り払った。

 「す…少しで…いい。休ま…せて…くれ…」

 二人は先ほど三須に襲撃された場所からは100メートルほどしか離れておらず、いつ追いつかれても不思議でない状況であった。空港との距離はほとんど縮まっておらず、議員を護衛するSPは走行中の車を見つけたら、それを借りて目的地まで急ごうと考えていた。

 「議員、あと数メートルで車通りの多い道に出ます。そこで車を捕まえて空港に急ぎましょう。」右手に拳銃を持つSPが、地面に座り込んで呼吸を整えている小田完治の様子を見て言った。

 「わ、わかった…」消え入りそうな声で議員が応えた。

 三須はこの様子を物陰に隠れて見ていた。親指で短機関銃のセレクトレバーを操作し、フルオート(連発)からセミオート(単発)に切り替えた。そして、照準を座り込んでいる小田の脚に合せて二度引き金を絞った。

 MP-5Kが小さく動き、花火のような音が静かな路地に鳴り響いた。二発の銃弾は吸い込まれるように議員の右膝と脛に命中した。地面に小田の血が飛び散り、傷口から大量の血が溢れ出る。

 議員が悲鳴を上げ、両手で脚を抑えた。急いでSPが銃を構えて三須を撃とうとしたが、その前に胸と右肩に銃弾を受けて拳銃を落してしまった。

 SPが左手で銃を拾おうとした時、三須が物陰から姿を現した。議員の護衛が拳銃を掴むなり、三須はSPの胸と首に3発の銃弾を叩き込んだ。力なく後ろに倒れた護衛を見て小田は死を覚悟した。心臓が異常に高鳴り、全身から汗が噴き出してきた。彼の双眸は短機関銃を持つ襲撃者を捕えて離さず、いつ引き金を引くのか目を大きく開けて見ていた。

 その時、短機関銃の銃口からパッと火が噴き出した。それと同時に花火が破裂したような音が路地に響き、小田完治の腹部を激痛が襲った。白いワイシャツに血が滲み、それは段々と大きくなって小田に衝撃を与えた。

 「ずいぶん待ったよ…」三須が議員に歩み寄った。距離は2メートル弱。「2年。すごく長かった…」襲撃者が再び小田の腹部に銃弾を叩き込み、撃たれた議員はその反動で地面に倒れた。

 小田完治の呼吸は浅く、撃たれた個所から大量の血が出てワイシャツは真っ赤に染まっている。

 「先生を裏切ったからだ。」短機関銃の銃口を議員の頭に向けて三須が言った。彼の顔には笑みが浮かんでいる。「報いを受けろ…」

 銃声が路地に響き渡った。銃弾を左肩に受けて痛みが走る中、三須が背後へ鋭い視線を送る。そこには拳銃を構える西野がいた。

 ネズミ取りの捜査官が再び引き金を絞ろうとした時、三須は短機関銃を憎い西野に向けて発砲した。彼はフルオートで射撃を行おうとしていたが、セレクトレバーがセミオートに設定されていたために引き金を1発しか発射されなかった。姿勢を低くして三須は右へ移動し、親指でセレクトレバーを操作すると銃口を西野に向け、弾倉が空になるまで引き金を絞り続けた。西野も姿勢を低くして、三須を追うようにして左へ移動した。両者ともに発砲したが、狙いが安定していなかったため、銃弾が頭上を通過したり、肩や腕をかすったりしただけであった。

 二人が民家の塀に突き当たると同時に弾切れになった。西野は小木から奪った拳銃に手を伸ばしたが、予備弾倉や拳銃を持っていない三須はネズミ取りの捜査官に接近しながらMP5-Kを投げつけた。ベルトに挟めていた銃のグリップを握って抜き取ろうとしていた西野は、それを左手で払い避けた。しかし、短機関銃に気を取られた隙に間合いを詰められ、三須が前押し蹴りを捜査官の腹部に叩き込んだ。

 左脚を一歩下げて踏み止まり、西野は腰の辺りで銃を構えると三須に向けて引き金を引いた。相手の動きに勘付いたテロリストは右へ移動して銃口から身を逸らし、右拳で引き金を絞り終えた西野の左側頭部を殴った。間髪置かずに三須は左膝蹴りを捜査官の股間へ繰り出した。

 ギリギリのところで右膝を内側に向けて西野は金的を防ぎ、左掌底で三須の額を殴ると素早く拳銃を相手の胸に向けて突き出した。

 テロリストは咄嗟に捜査官の右手首を掴み、そのまま頭突きを西野の鼻頭にくらわせた。攻撃を受ける寸前に西野が引き金を絞り、銃弾が三須の左腕をかすめて壁にめり込んだ。そして、三須は被弾して痛む左腕を持ち上げ、西野の右手に握られていた拳銃を弾き飛ばした。銃が勢い良く地面に叩きつけられる。

 西野は折られた鼻から出ると血と脈打つ痛みを感じながらも、三須の腹部へ突き上げるように右膝蹴りをくらわせた。予期せぬ攻撃を受けたテロリストは激痛のあまり前屈みとなり、その隙を狙ってネズミ取りの捜査官は三須の後頭部へ右肘を振り下ろした。この一撃でテロリストは崩れ落ち、四つん這いになった。これを確認すると、疲労困憊している西野は落とした銃を取りに動いた。

 腹部と後頭部へのダメージに苦しむ三須であったが、自分の前を歩く西野を目撃すると憎悪が全ての感覚を塗りつぶした。彼は拳銃を取ろうと屈んだ西野の左脚を掴み、力一杯手前に引っ張った。

 バランスを崩したネズミ取りの捜査官は頭から転んで、額を地面に打ち付けてしまった。痛みに呻き声を上げるも、西野はすぐ三須の方を見た。しかし、そこにテロリストの姿はなかった。捜査官が顔を上げると銃声が暗い路地に響いた。西野の胸に激痛が走る。彼は痛みと銃弾を受けた衝撃から仰向けになった。

 拳銃を取り上げた三須は座った状態で一度、西野の胸に向けて発砲した。そして、素早く立ち上がった。周囲を見渡すと、民家の窓から彼らを見る住民や路地の曲がり角で息を潜めている野次馬を見つけた。テロリストは口元を緩めた。

 “これで大衆は目を覚ます。”

 三須は口から血を吐いた西野に視線を戻し、捜査官の腹部に3発の銃弾を叩き込んだ。撃たれた衝撃で西野の体が振動した。少しでも捜査官に苦しんでもらいたいテロリストは、敢えて西野の頭を撃ち抜かなかった。

 「先生、もうすぐですよ…」そう呟くと、三須は小田完治のところへ向かった。議員の頭部は何が何でも撃ち抜こうと、テロリストは計画当初から決めていた。

 すると、前方から赤色灯を光らせて接近してくる黒いSUVを目撃した。後ろを見ると、同じく赤色灯を光らせた車が近づいてくる。

 三須は急いで大きな血の湖の中で倒れる小田に近づき、銃口を議員の頭部に向けた。

 パンッと銃声が鳴り響き、三須の右手から拳銃が落ちた。彼は歯を食いしばって痛みに耐え、拳銃を拾おうとした。だが、その前に左脚を撃たれて片膝をつき、さらに顔を下に向けた一瞬の隙に顔面を蹴り飛ばされた。背中から地面に倒れた時、三須は自分を撃った人物を確認した。

 倒れる三須に拳銃を向ける新村の顔は冷静であった。そこからは何も読み取るができない。しかし、彼女の心は憎悪に満ちていた。思いを寄せていた野村を殺害した犯人が目の前にいる。できることなら、弾倉が空になるまで撃ちたかった。

 応援のSAT隊員2名が三須をうつ伏せにさせて両手首を縛り、テロリストをSUVへ連れて行った。その様子を新村は目で追い、三須が車に押し込まれると拳銃をホルスターに戻した。

 一方、他のSAT隊員たちは被弾した小田と西野の様子を見ていた。二人とも意識はないが、脈はあった。隊員たちは急いで止血を行ない、小田と西野を近くの病院へ搬送した。








 「そうか…。よくやった…」電話越しの黒田の声は暗かった。

 「現場は警察に任せていいのですか?」背後で忙しなく動き回る制服警官2人を見つめながら、新村が尋ねた。制服警官たちは現場の保存を行っており、女性捜査官がいる場所から離れた場所でも同じ作業が行われている。

 「これ以上、警察と揉める気はない。すぐに帰って来い。」

 「分かりました…」

 通話を終えても新村は三須を逮捕した現場から目を離すことができなかった。

 ブルーシートで覆われたSPの死体。西野と小田完治のおびただしい量の血。大量の空薬莢。MP-5K短期機関銃。USP拳銃。

 しばらく現場を見つめると、新村は踵返して待機していたSATの車に乗り込んだ。

 「支局の近くまで送って下さい。」後部座席のドアを閉めると、女性捜査官が運転席にいる隊員に言った。

 「了解。」

 車が走り出すと、新村はヘッドレストに頭を乗せた。

 “終わった…”

 そう思うと突然、今まで抑えていた感情が爆発し、涙が両頬を伝って首筋を流れた。喉がぐっと苦しくなり、彼女は前屈みになって声を押し殺して口を小さく開いた。

 前の座席にいた二人のSAT隊員は新村が泣いていることに気付いたが、後ろを振り向かず気付いていないフリをした。








 銃撃戦で右手の指を3本失った大多和であったが、手を元通りの姿に戻せる可能性が高いと担当の医師に言われて喜んでいた。

 応援に来たSAT隊員が機転を利かせ、大多和の指をすぐアイスパックで冷やしたので腐食の進行を遅らせることに成功していた。そして、これが捜査官の右手を元に戻す可能性を高めた。ネズミ取りの捜査官はすぐ手術室に運ばれ、指の縫合手術が開始された。

 この数分前、病院へ向かう車の中で大多和は隣に座るSAT隊員の桑野に、今まで抱いていた疑問をぶつけた。

 「あの中島って人は何者なの?あと、洞爺湖で何があったの?」

 桑野が目を見開いて大多和の顔を見た。「知らないんですか?」

 ネズミ取りの捜査官が頷く。

 「中島さんは洞爺湖サミットでテロ攻撃を計画した過激派を逮捕したチームのリーダーですよ。」驚きの表情を浮かべて桑野が言った。

 横に座る隊員の話しを聞いて大多和はあんぐり口を開けた。「あの中島一真?」

 「そうですよ。」

 これには捜査官も驚いた。講義や同僚の話しでしか聞いたことのない存在であったため、中島一真本人と共に行動していたとは夢にも思っていなかった。

 中島は洞爺湖サミット警備の応援として、警視庁から派遣されたSAT隊員の一人であった。彼が有名となった理由はSATの主目的である「無力化」を行わず、過激派メンバー全員を拘束したからである。これは中島の独断ではなく、突入の許可得る際、グループとその関連組織を一掃したい北海道警察本部長と警備部長から「可能な限り、犯人を拘束せよ」との命令を受けた故の行動であった。しかし、命令を下した二人はあまりテロリストの拘束に期待をしていなかった。

 命令を受けた中島と彼のチームは、過激派がアジトとして使っている貸事務所がある壮瞥町へ向かい、そこにいた7人のテロリストを一人も無力化せずに拘束した。

 費やした時間は2分9秒。

 テロリストは腕と脚に銃弾を受けていたが、致命傷に至るケガはなく、すぐにでも尋問できる状況であった。拘束後、警備部の爆発物処理班が過激派のアジトで4本のパイプ爆弾を発見した。

 「変わった人なんだな…」大多和が前方を走るSUVを見た。その車には中島と荒井が乗っている。「もっとお堅い人だと思ってた…」








 夜が明け、街に陽の光が拡散し始めた。そして、光が拡散するように、三須と小木による小田完治襲撃のニュースが瞬く間に朝の日本に広まった。

 全てのテレビ局が放送内容を変更し、小田完治の特集番組を放送した。それは襲撃された議員の容態を心配する内容ではなく、昨日から続いていた小田に対するテロ攻撃と彼や家族を誹謗中傷する内容であった。

 とある番組に出ていた評論家は「小田議員はテロを規制する法案提出の準備をしていた。この襲撃はそれに反対する勢力の犯行に違いない。彼が無駄な法案を作らなければ、このような事態は避けられた」と述べ、強く小田を非難していた。

 インターネットも小田完治の話しで持ち切りであった。ソーシャルメディアを中心に、現場を目撃した人々が写真や動画を投稿して盛んに事件の背景について推理していた。

 警察は議員を襲撃した人物は旅行代店に勤務する『小野田 良平』と『小木 康博』だと発表した。動機不明であり、ホテルの襲撃との関連も不明だと記者会見で言った。二人がネズミ取りの分析官と捜査官であることは伏せられ、彼らの顔写真も公開されなかった。

 不可解な点が多すぎるため、人々は報道が始めるなりミステリー小説を読むように事件を追っていた。またインターネット上では、ある男性について意見が交換されていた。その男性は複数のソーシャルメディアに登場するも、誰も彼の正体を知らなかった。襲撃の目撃者たちは、謎の男性は小田完治を襲った男との交戦の末に射殺された、とコメントを投稿している。しかし、警察、そして、大手マスメディアはこの人物について一切触れていない。

 あるインターネット掲示板では「都市伝説」として扱われるようになるも、一部の人々は謎の人物の正体を追い求めた。








 西野が目を覚ました。

 「起きたか?」

 声が聞こえ、西野が頭を枕から上げた。窓の横に置かれたスツールに座る黒田が見えた。上司の姿を見るなり、ネズミ取りの捜査官は三須のことを思いだして上体を起こそうとした。しかし、胸部と腹部に激痛が走ってベッドの上に落ちた。二人は病院の個室にいた。

 「無理をするな。傷口が開くぞ…」黒田が立ち上がる。

 「三須はどうなった?議員は?」早口で西野がベッド横に来た上司に尋ねた。

 「小野田良平こと三須圭介と小木は逮捕したが、二人ともダンマリを決め込んでる。小田議員は一命を取り留めたが、予断を許さない状況だ。」

 「そうか…」安心して西野は両目を閉じた。

 「一段落着いたが、まだ油断できない。三須と小木に対する尋問が強化され、奴らの仲間を全員―」

 「守谷はどうなった?」捜査官が黒田を遮った。

 話しの邪魔をされた童顔の黒田はむっとしたが、それを顔に出すことは無かった。

 「廃校舎で見つかった守谷と奴の仲間は死んだよ。」

 「確かか?」西野は疑心暗鬼になっていた。一度は死んだと思った男が現れ、殺されかけたのだ。

 「死体を見に行くか?まだ処理されてないと思うぞ。」

 しばらく二人の間で沈黙が続いた。

 「そろそろ行くよ…」黒田がドアへ向かって歩き出した。

 「野村たちはどうしてる?」ドアノブに手をかけた上司に西野が尋ねた。

 黒田は答えに困った。

 「今はゆっくり休め…」

 “まだ知る必要はない…”ネズミ取りの支局長は部屋を後にしようとした。

 「待ってくれ!」西野が大声で呼び止めた。その際に被弾した箇所が痛み、顔を歪めた。

 黒田がスライドドアを閉めて振り返った。「どうした?」

 「もう辞めようと思う…」目を伏せて西野が言った。「俺にはもうこの仕事を続ける自信がない…」

 黒田は何も言わなかった。

 「すまない…」そう言って西野は顔を窓の方へ向けた。

 「分かった。」黒田はそれ以上何も言わず、病室を後にした。








 果物の詰め合わせを小脇に抱えた男がナースステーションにやって来たので、奥で作業していた若い女性看護師のがカウンターに近づいた。

 「宮崎優さんの友人なんですが、病室はどちらでしょうか?」男が尋ねた。

 「宮崎さんは710号室にいます。お部屋はそこの角を曲がって…」看護師が男から見て左手にある曲がり角を指で示した。「まっすぐ行った突き当たりの左にあります。」

 「ありがとうございます。」面会簿に名前を書くと、男が笑みを浮かべて礼を言った。

 病室に近づくと子供の笑う声が聞こえてきた。部屋番号の書かれた札の下に2つの名前があり、一番上に「宮崎優」とあった。室内を覗き込むと4つのベッドがあり、奥の2つのベッドが使用されていた。片方はベッドを囲むようにカーテンを閉められていたが、もう一つには若い男性が座っている。彼の横には小さな女の子を膝の上に乗せてスツールに座る若い女性がいた。一家は笑顔を絶やさずに話しており、宮崎が大きく笑い声を上げると顔を歪めて腹部を右手で抑えた。まだ、刺された箇所が痛むようだ。

 辛抱強く一緒に行動してくれた若い刑事の病院にまで来たが、中島は一歩を踏み出すことができなかった。刑事の顔を見た時、彼は最初自分の目を疑った。そこには潜入捜査中に殉職した三浦大樹がいた。ベッドに座る三浦とその家族。しかし、すぐに勘違いであることに気が付いた。それでも彼の目頭は熱くなり、咄嗟に壁に背をついて両目を閉じた。

 “アイツは死んだんだ…”

 その時、人の気配を感じて中島が目を開けた。松葉杖をついて廊下を歩く老人と看護師が、彼に不審な目を向けていた。SAT隊員は室内に入ろうと壁を離れたが、すんでのところで足を止めた。そして、ナースステーションに向かい、果物の詰め合わせをカウンターの上に置いて立ち去った。

 宮崎と会った時から中島は、どこか若い刑事から三浦と似た雰囲気を感じていた。一緒にいてとても気分がよく、弟のように可愛がっていた後輩のことを思い出しては、悲しみと同時に奇妙な高揚感を持った。ゆえに宮崎が刺された時、SAT隊員は我を失って相手を射殺した。

 エレベーターが一階に着くと中島は、後ろ髪を引かれる思いを断ち切ってメインホールへ続く廊下を歩き出した。受付前に並ぶベンチの後ろを通って出入り口へ向かっていたが、その時に見慣れた横顔を見て足を止めた。

 「まだいたのか?」中島がベンチに座って雑誌を読んでいた藤木の隣に座った。

 「飛行機の時間まで6時間もあるんですよ。」ネズミ取りの男が顔を上げた。相変わらず彼の顔には笑みが浮かんでいる。

 「そうかい…」ベンチに深く腰掛けてSAT隊員が言った。

 「あの刑事さん…3週間後には退院できるそうですよ。」

 中島が藤木を見る。「そのストーカー癖は直した方がいいと思うなぁ~」

 「癖じゃないです。仕事ですよ。」

 しばらく二人は黙って前を見つめた。

 「アイツらの中に三浦の仇はいたのか?」中島が沈黙を破った。

 「あまり詳しいことは言えませんが…」横目で隣に座る男を見て藤木が口を開く。「三浦くんの死に関わったとされる3人のうち2人は亡くなりました。」

 「もう一人は?」

 「拘束されました。しかし、三浦くんと共に行動していた元警察官の報告によれば、直接手を下した男は、中島さんがやっつけちゃったみたいですよ。」

 「ふ~ん。」

 藤木は中島が嬉しそうな表情を見せるかと思っていたが、SAT隊員は表情一つ変えずにそっけない返事を返した。

 「そう言えば、あの議員と捜査官はどうなったの?」と中島。

 「議員の方はまだ危険な状況です。でも、捜査官の方は意識を取り戻しましたよ。」

 中島が突然立ち上がった。「そろそろ帰らないと、家族に怒られちまうな…」

 「休暇中でしたもんね…」藤木は再び雑誌に目を戻した。「また縁があれば、会いましょう。」

 「この世界にいたら嫌でも会うだろうさ。」ネズミ取りの男を見下ろしてSAT隊員が言った。「言い忘れてたけど、ありがとな…」

 藤木が目を上げた時、中島は既に自動ドアを抜けて外に出ようとしていた。

 「どういたしまして…」雑誌の記事に目を通しながら、藤木が小さく呟いた。中島は廃校舎で救ってくれた狙撃手が藤木と小川であることを悟っていた。

 中島と入れ違う形で小川が彼の隣に座った。「何で言わなかったんですか?」

 「何を?」と藤木。

 「三浦という人の死と藤木さんの関係ですよ。」

 菊池信弘のテロ計画を阻止するため、警視庁公安部は潜入捜査官として藤木を使うことも検討していた。しかし、年齢や彼の素性が一部団体に漏れていることを考慮した結果、公安部は新たに潜入捜査官候補を探し始めた。その候補が西野と三浦を含む5名であった。

 三浦の殉職を聞いた時、藤木は罪悪感を抱いた。

 “自分が潜入して死ぬべきだったのかもしれない…”

 それから彼は仕事の合間を縫って菊池たちの残党を探していた。そして、今日、それが終結しようとしている。

 「もう終わったことだよ、小川ちゃん。」

 長い髪を後ろで束ねている女性捜査官が下唇を突き出した。

 「ながーい、ながーい報告書を書かないといけないし…そろそろ出るかい?」藤木が雑誌を閉じる。

 二人は立ち上がって駐車場に向かって歩き出した。

 「そう言えば、さっき聞いたんですけど…」小川が口を開いた。「三須と小木が亡くなりましたよ。」

 助手席のドアを開けて藤木が部下の顔を見た。「それで?」

 「いや…」女性捜査官はたじろいだ。上司は眉一つ動かさなかったのだ。「一応、報告しようと思って…」

 「そう…。ありがとう、小川ちゃん。」

 藤木の様子に疑問を抱きながら小川は車を走らせた。駐車場を後にしようと一時停止した際、彼女の頭にある考えが浮かんだ。

 “それはないか…”

 あまりにも馬鹿げたことだと思い、小川は気持ちを切り替えて車を空港へ向けて走らせた。




終わり





(これで『返報』は終わりでーす。それじゃ!)

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あの野郎ォ… [その他]

 またもWNに関係のない記事です。申し訳ありません。


 ハヤオの野郎が某ネットショッピングサイトの電子書籍サービスを使って、『返報』の販売を始めたことを昨日知りました。上巻とかふざけたやり口です。しかも、結構高い。

 あまりにも酷い手口なので、今週末(金・土・日)にブログを読んでる人々への感謝をこめて無料配布をしようと思っています。

 上巻となっていますが、中身はブログで公開している第1回から7回です。あと、意味不明の制作小話。地味に加筆と修正が加えられていますが、ブログ版との違いはないです。はい。

 ハヤオの話しでは、下巻から少しシーンを足すかもしれないと言ってましたね。まぁ、大筋は変わらないでしょう。

 最後に、最終回となる第14回のパート6ですが…公開日はまだ決まってないです。しかし、今月の末には出るかもしれない。残るのは戦闘シーンと後日談だと思うので、そこまで長くならないと思います。はい。

 詳細が判明次第、ブログを更新すると思います。はい。

 それじゃ!
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もうちょっと、続くンデス [余談]

 (ハヤオ関連の記事です。WNとは一切関係ありません。)

 予告も無しに『返報』の14-5を公開してしまいました。すみません。

 内容も酷く、これが最後ということにもならなかったことも、謝らなければならないですね。

 ハヤオと相談した結果、今年中には終わらないことが決定したので、完成している部分だけ出すことにしました。事実、ここで打ち切ってもいいかなぁ~、と思ってます。皆さんもそう思うでしょ?

 パート3から続く地味な戦闘ですが、残りは西野対三須、中島対守谷の結末だけです。はい。

 西野と三須の戦いは予め予定されていたので、ハヤオも良いペースで書いてます。一方、中島と守谷の戦いは2パターン存在していて、どっちを採用するか考えていたようです。はい。

 ちょびっと因縁めいた戦闘シーンが続きます。西野と三須は二人の因縁を理解していますが、中島と守谷はしてないんですよね。この二人を結ぶのは潜入捜査官であった「三浦」なんですが、彼らはそれに気付いてない。もしかしたら、一生、分からないかもね。

 まぁ、長々と書いても仕方ないので、いずれまた会いましょう!

 それじゃ!
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返報 14-5 [返報]

14-5





 反対方向から聞こえてくる銃声が大きくなるに連れて池田と沢木の不安は大きくなり、荒井と中島が降下する直前に二人は大多和と桑野の所へ急いだ。二人は壁の角に隠れて正面玄関へ発砲する捜査官と同僚を見つけ、近づくと肩を軽く叩いて合図を送った。

 驚いた大多和と桑野は目を見開いて銃口を駆けつけたSAT隊員二人に向けた。しかし、相手を確認すると、素早くテロリストがいる方へ向き直った。池田と沢木も先着していた二人に倣って銃撃を開始した。彼らが遮蔽物として使う壁は銃撃で複数の穴が開いており、部分的に削り取られていた。

 4人を襲う銃弾の数は減ることなく、増える一方であった。そして、テロリストたちは弾幕を厚く張りながら、数人を裏口へ移動させて挟み込もうとしていた。大多和たちがこのようにして銃撃を続ける理由は、応援がもうすぐ来ると思っているからである。

 再装填のために遮蔽物に身を隠した大多和は、背後にいた沢木と位置を交代してMP-5SDの予備弾倉に左手を伸ばした。風を切る音が彼の耳に飛び込み、その直後、右手に衝撃が訪れて短機関銃が弾け飛んだ。身を屈めて銃に手を伸ばすと、大多和は真っ赤に染まった上に3本の指を失った自分の右手を目撃した。それまで全く痛みを感じていなかったが、大半の指を失った血だらけの手を見て激痛と衝撃がネズミ取りの捜査官を襲った。

 一方、大多和が身を屈めた時、彼の背後にいた沢木は背中を被弾して地面に叩きつけられた。彼は急いで遮蔽物まで戻って振り返った。仲間の動きで桑野と池田は背後から迫る5人のテロリストに気付いた。

 素早く二人が振り向くと、血だらけの右手を左手で庇う大多和を見つけ、一瞬固まってしまった。その時、池田の胸と腹部にテロリストの銃弾が命中してSAT隊員が尻餅をついた。桑野が急いで応射しようとしたが、短機関銃は弾切れであった。ゆえに沢木が先に射撃を開始したが、胸と首に複数の銃弾を受けて仰向けに倒れた。

 この時、正面玄関にいるテロリストは回り込んだ仲間が敵を始末すると推測して銃撃を止めた。
仲間の死に気付く余裕がない桑野は素早くUSP拳銃を抜き、右腕を突き出して引き金を引いた。しかし、発砲と当時に胸部に銃弾を受けて転倒してしまった。池田は倒れた状態で迫るテロリストに銃撃を加えた。しかし、火力の強さが違ったため、相手に引く気配はない。その内に弾倉が底を着き、彼は急いで拳銃の予備弾倉に手を伸ばした。

 突然、大多和が雄叫びを発して立ち上がった。彼の左手にはUSP拳銃が握られており、捜査官は敵の銃撃に怯まずに前進しながら発砲した。この際に大多和は何度か防弾ベストに被弾したが、臆することはなかった。しかし、4歩進んだ所で右脚を被弾して片膝をついた。池田と桑野は応射したかったが、大多和が邪魔で撃つことができなかった。捜査官とテロリストの距離は4メートル弱であった。

 “ここまでか…”

 死を覚悟した大多和は両目を閉じた。そして、再び風を切り裂く音を耳にした。

 “これが最後に耳にする音か…”と彼は思った。

 しかし、その音は一度で終わらずに何度も続いた。不思議に思った捜査官がもう二度と開くことは無いと思っていた目を開き、目の前で横たわる5つの遺体を見た。ふと背後にいる仲間へ視線を向ける。地面に倒れて銃を構える桑野と池田は唖然として大多和を見つめていた。

 7メートル離れた茂みから物音が聞こえ、三人は素早く、音のした方へ銃を向けた。目を凝らして茂みを見ていると、二人のSAT隊員が姿を現した。

 「遅くなりました…」近藤が言った。彼は本間たちテロリストグループがグランドホテルを襲撃した際、車寄せにいたテロリスト二人と交戦したSAT隊員の一人である。

 「でも、時間ぴったりじゃないですか?」近藤の隣にいた藤田が訊いた。彼も近藤と共にグランドホテルで戦ったSAT隊員である。

 「応援って…二人だけか?」大多和が銃を下げて尋ねた。

 「いえ…」近藤が応えると、茂みから黒い衣装に身を包んだ3人のSAT隊員が静かに現れた。また、大多和は接近してくるプロペラ音を耳にした。








 小田完治の車列が札幌空港まで残り8kmと迫っていた。別ルートで移動している彼の家族はまだ17kmほど離れた位置におり、議員を護衛するSPたちは飛行機の時間を少し遅らせる必要があると考えた。

 先頭車両に二人のSPが乗っており、その後続車両に小田完治と彼を警護するSP二人が乗車している。議員を乗せた車両を運転するSPが、ルームミラーで後方の安全確認を行った。後続車が現れても、長くて5分もすれば道を外れることが多く、運転するSPは何事もなく無事に警護対象者を空港に送ることができると確信を得ていた。それは助手席にいるSPも同じで、小田完治もテロリストの襲撃は終わったと思っていたのだ。

 ふと運転するSPがルームミラーを見ると、新たな後続車が付いていることに気が付いた。

 “コイツもすぐ曲がるな…”

 そう思った時、後続車の助手席から男が身を乗り出して筒状の物を構えた。筒状の物はロケットランチャーに見えた。SPが急いでハンドルを右に切って弾道から逃せようと動いた。その直後、助手席から身を乗り出していた小野田が中国製RPG-7の引き金を絞った。

 ロケット弾が猛スピードで議員を乗せた車に接近したが、命中する寸前で車は右へ移動して難を逃れた。しかし、この回避行動によって、先頭車両がロケット弾の餌食となった。車体の後部が直撃の際に生じた衝撃で浮き上がり、黒い乗用車は火を吹きながら頭から転がって道路に叩きつけられた。車内にいたSP2人はロケット弾の直撃と共に死亡し、それを目撃した他のSPと小田完治は息を飲んだ。

 小野田は一度車内に戻って、後部座席から新たなロケット弾を手に取った。慣れた手つきで彼はロケットランチャーの再装填を行い、炎上する乗用車の横を通り過ぎると再び窓から身を乗り出した。一方の小木は小田議員が乗車する車との距離に気を付け、接近過ぎないように速度をコントロールしていた。これには小野田と名乗っている三須も満足していた。引き入れた捜査官は想像よりも、的確な判断と行動ができる人間であった。

 ロケットランチャーを構えると、小野田はジグザグ走行を繰り返す標的に向けて照準を合わせた。

 “先生、見てて下さい…”三須は亡き恩師のことを思いながら引き金を絞った。








 恐怖に顔を引きつる荒井の顔を見ながら、守谷は人差し指に力を入れた。

 しかし、引き金が絞り切られる寸前に大男に投げ飛ばされた中島が、死を予期していたSAT隊員の右隣まで滑って来た。突然のことに守谷の視線が中島に移った。この機を利用して荒井は頭を左に傾けて銃口から身を逸らし、両手で拳銃を掴んで銃口を上に向けさせた。

 額に切り傷を持つ男は蹴りを荒井に入れようとしたが、その直前、腹部に衝撃と激痛が走った。中島が仰向けに倒れた状態で守谷の腹部に右蹴りを入れたのだ。この攻撃で銃が荒井の手に戻った。

 東京から来たSAT隊員が立ち上がろうとした途端、中田が防弾ベストで守られた中島の背中を蹴り飛ばして床に叩きつけた。大男が次の攻撃に出ようとした時、荒井が拳銃を大男に向けた。しかし、血走った目をした中田は素早く、荒井の銃を掴んで彼の顔面に右拳を叩き込んだ。想像を絶する痛みに荒井の意識が薄れかけ、拳銃から手を離してしまった。

 仲間の危機に気付いた中島は立ち上がる前に、大男の右膝頭に左踵を叩き込んだ。鈍い音と共に中田の右脚が反対方向へ曲がり、激痛に苦悶の表情を浮かべて大男は歯を食いしばった。間を置かずに中島を援護しようと荒井が、右拳で中田の左膝裏を殴って大柄のテロリストに片膝をつかせた。この時、テロリストが荒井の拳銃を床に落とした。素早く若いSAT隊員は、被弾していない右足で中田の口を蹴り飛ばした。

 同じ時、隙を見て起き上がろうと動いた中島の顔面に蹴りが飛んできた。片膝をついていた彼は急いで防御しようと左腕を上げた。蹴りの威力が強く、顔面への直撃は免れたものの、左腕に痺れが走った。腹部を蹴られて苛立っている守谷は、素早く次の蹴りを入れようと動いた。

 守谷の右脚が再び東京から来たSAT隊員の顔面に向かって飛んできた時、中島は痺れる左腕を振りかぶって拳を水平に振り、守谷の右脛にそれを叩き込んだ。脛に走る激痛を感じて額に切り傷を持つ男は右脚を下げ、その間に中島が素早く立ち上がった。痛みに耐えながら守谷は目の前に立つ男を睨み付け、相手の動きを窺った。双方ともにできればカウンターで相手を仕留めようと考えていたが、外から聞こえる複数の銃声が二人の心に焦りを与えた。

 左腕の痺れが薄れると、中島は素早く左脚を一歩踏み出して守谷との間合いを詰め、右蹴りを先ほどハンマーパンチを浴びせた相手の右脚に向けて放った。すると、テロリストは左脚を軸に体を90度回転させて攻撃を回避し、そのまま回転の勢いを利用して左拳を中島の顔目がけて放った。しかし、中島は頭を左へ軽く傾けて攻撃を避け、同じく左ストレートを繰り出した。

 中島の速度に慣れてきた守谷は飛んできた拳を右手で払い流し、左拳でSAT隊員の右頬を殴打した。好機を逃すまいと、守谷は間を置くことなく中島の右側頭部に右フックを一発お見舞いした。

 続けて二発の攻撃を頭部に受けた中島は流石にくらっときたが、勢いに乗る守谷の左フックが彼の顎横に向けて放たれると、被弾した右腕を上げて直撃する数センチ前で防いだ。これは反射的な行動であり、意識して行われた行動ではなかった。激痛が右腕に走り、中島は歯を食いしばってその痛みに耐えた。これがテロリストに追撃の隙を与え、それと同時に弱点を教えることになった。

 守谷は再びSAT隊員の右腕を殴ろうと左フックを繰り出し、それはだぶだぶの服を着た中島の右腕に叩き込まれた。傷口から離れた位置に命中したにも関わらず、形容し難い痛みが右腕全体に走り、さらに傷口から血が噴き出た。

 素早くテロリストが二打目を放とうとした時、中島は左掌底を相手の顔面に叩き込み、二人の間に距離が生まれると左押し蹴りを守谷の腹部に入れた。しかし、テロリストは右足で踏ん張ってバランスを取り、左前蹴りをSAT隊員の股間に向けて放った。中島は左膝を内側に向けて相手の蹴りを防ぎ、距離を詰めようと接近してくる守谷の鼻頭に向けて左拳を突き出す。

 拳の接近を確認するなり、額に切り傷を持つ男は身を屈めて回避し、そのままSAT隊員の右側へ移動した。急いで相手を追いながら、中島が左ストレートを放つ準備に出た時、テロリストが負傷している中島の右腕を力強く掴み、さらに守谷はSAT隊員の傷口に中指を押し込んだ。

 想像を絶する激しい痛みに中島は苦痛の表情を浮かべて呻き声を上げた。それ見た守谷は声を出して笑い、中指をさらに深くSAT隊員の傷口に侵入させた。この時、優越感に浸るテロリストは、右から迫る肘の存在に気付けなった。中島は痛みから逃れるため、左肘を守谷の右側頭部に素早く二度叩き込んだ。

 不意を突かれたテロリストは痛みよりも屈辱を感じた。その感情が強かったため、彼は一度掴んだ中島の右腕から手を離そうとはしなかった。しかし、SAT隊員の左拳が守谷のこめかみを直撃した時、あまりの痛みに手の力が抜けた。この好機を逃すほど中島は間抜けではない。彼は左掌底で守谷の額を押すように殴り、続けて右蹴りで額に切り傷を持つ男の左横腹を蹴り飛ばした。

 東京から来たSAT隊員が脚を引く直前、テロリストは中島の右脚を掴み、さらに彼の防弾ベストの肩部分を掴んで左へ放り投げ、中島を壁に強く叩きつけた。そして、相手が態勢を立て直す前に守谷は、再び壁に中島を叩きつけようと前蹴りをSAT隊員の腹部に叩き込んだ。

 荒井に蹴られて前歯が折れた中田の口元は血で赤く染まり、彼は歯を失った痛みで苦しんでいたが、彼の双眸は左脚を被弾したSAT隊員の姿をしっかり捕えていた。

 再び荒井が右蹴りを同じく顔に向けて放とうとした。しかし、中田はそれを右手で掴み、左拳を水平に振って荒井の胸部に強烈な打撃を加えた。若いSAT隊員はこの攻撃で一時的な呼吸困難に陥り、パニックに陥った。その間に大男は、中島に折られた右脚を引き摺って荒井の上に馬乗りになり、両拳を交互に若いSAT隊員の顔面に叩き込んだ。本能的に荒井は両腕を上げて顔を防御するも、振り下ろされる

 中田の拳は重く、腕が痛みで悲鳴を上げ始めた。しかし、この間に彼の呼吸は元に戻りつつあった。
その時、大男の両手が荒井の首を掴んで強く絞め始めた。荒井の防御を退くことができなかったため、中田は隙だらけの首を掴んだのだ。元に戻りつつあった呼吸が乱されて若いSAT隊員は、苦痛の表情を浮かべて首を絞めるテロリストの手を掴んだ。しかし、ビクともしない。そこで荒井は左拳で中田の骨折している右脚を殴った。

 苦悶の声が大男の口から洩れ、荒井は腕を多く振って再びテロリストの脚を横から殴った。今まで痛みを堪えていた中田であったが、今回は大きな声を上げて感情を露わにし、右脚を庇いながらSAT隊員の右隣へ転がるように逃げた。

 首を絞めていた手が消えると、大量の酸素が荒井の肺に流れ込んできた。咽ながらも彼は次の攻撃に出ようと上体を起こし、その時、一度は奪われた自分の拳銃を見つけ、右手を伸ばした。

 一方、守谷が思い描いた通りに中島は壁に背中を強打し、苦痛の表情を浮かべた。次の攻撃を回避するため、東京から来たSAT隊員が動こうとした時、テロリストが中島の着ている防弾ベストの肩部分を両手で掴み、頭を少し後ろへ動かした。頭突きを予想した中島は、守谷の頭が振り下ろされる直前に前頭部を突出し、頭突きが繰り出されると同時にテロリストの鼻頭を砕いた。守谷の鼻から大量の血が吹き出し、SAT隊員は生温かい液体を頭部に感じた。

 この時、外で行われていた銃撃戦が一時中断された。しかし、廊下にいる4人はそれに気づいていない。

 呻き声を漏らしながら守谷は後退し、中島は追い打ちをかけるようにテロリストの股間を右足で蹴り上げ、相手が前屈みになると左拳を守谷の右頬に叩き込んだ。額に切り傷を持つ男は股間を両手で抑え、その場で両膝をついて丸くなった。相手の戦意が無くなったことを見ると、中島は荒井へ視線を向けた。

 ちょうど若いSAT隊員がUSP拳銃を手に取った時、中田が荒井に飛び掛かって来た。咄嗟に荒井は胸元で構えていた拳銃の引き金を絞り、銃弾がテロリストの顎を吹き飛ばした。そして、彼は大男のタックルを受ける直前にもう一度引き金を絞って、相手の胸部に銃弾を叩き込んだ。

 二発の銃弾を受けて息絶えようとしている中田は、最後に強力なタックルをSAT隊員に浴びせ、相手と共に床に落ちると同時に死亡した。一方の荒井はテロリストの体当たりを浴びた際、中田の肩が顎に命中し、脳震盪を起こして気を失った。

 急いで中島が荒井の所へ走ろうとしたが、何かが首に巻きついて動きを止められた。パラシュートコードが彼の首を圧迫し、SAT隊員が首に触れようと左手を上げたが、手が届く前に右膝裏を蹴り飛ばされて床に片膝をつかされた。首への圧迫がさらに強くなり、中島は顔を真っ赤にして呻き声を上げた。

 「すぐ仲間の後を追わせてやるよ…」パラシュートコードを強く引っ張る守谷は、首に巻き付いた縄を掴もうとしている中島の右脚を踏みつけた。テロリストは荒井が死んだと思っていた。

 首を絞められて後ろに引っ張られているため、荒井の状態を確認しようとしても、中島には床に倒れる黒い影を視界の隅に捉えることしかできない。呼吸が苦しくなり、目の前に靄がかかり始めた。







 車内はパニック状態であった。

 運転手のSPが冷や汗をかきながら、ルームミラーとサイドミラーを利用して襲撃者の姿を探し、見つけると急いでジグザグ走行し、さらに加速して距離を開けようとした。交差点が無いので、この方法で切り抜けるしかなかった。一方、助手席にいた彼の同僚は震える右手で拳銃をホルスターから抜き、振り返って後部座席にいる小田に伏せるように言った。それでも国会議員は迫りくる襲撃者の姿をリアグラス越しに見続けた。助手席のSPはシートベルトを外し、席から身を乗り出して小田完治の上着を掴むと急いでシートの陰に引っ張った。

 「伏せてくださいッ!」

 「そんなことより、アイツらをなんとかしろッ!」議員が怒鳴った。

 その時、三須がロケットランチャーの再装填を終えて窓から身を乗り出した。

 “先生、見てて下さい…”心の中で呟くと、三須はゆっくりと引き金を絞った。

 ロケット弾が発射される直前、三須と小木が乗る乗用車に衝撃が訪れた。その影響でロケットランチャーが少し上を向き、ロケット弾は標的の上を通過して数メートル先にあった車両用信号機に命中した。爆発と同時に破壊された信号機が小田を乗せた乗用車の前に落ち、突然のことに運転手は反応できず、車は落下してきた信号機に激突して動けなくなった。

 三須と小木が後方を見た時、二人は予想外の人物を目にして驚いた。

 「何でアイツがここにいるんだ!?」小木が思わず叫んだ。彼は西野が三須の仲間に捕えられていると聞かされていたので、同僚の出現にかなり動揺していた。それは三須も同じであった。

 「分からないッ!」動揺を隠して三須が助手席に戻り、ロケットランチャーを後部座席に放り投げた。すぐに彼は席の下に隠していたMP-5Kを取り出した。「西野は後だ。まずは小田を始末するッ!」

 西野に気を取られていた二人が意識を前に向けると、小田が二人のSPに連れられて乗用車から離れようとしていた。

 「轢けッ!」三須が逃げる小田を睨み付けながら叫んだ。

 命令を受けて小木が車を逃げる3人へ向けて走らせる。しかし、二人が乗る車が標的まであと6メートルに迫った時、西野の車が左後輪部分に体当たりしてバランスを崩された。テロリストの車はぶつけられた場所を支点に右へ回転し、一瞬、西野が乗る車と隣り合う形となった。ここで西野が三須と小木に向けて発砲しようとしたが、そうしようとした時に停車していたSPの車に激突し、エアバッグが作動して顔面を強く打った。

 小木は素早くハンドルを操作してバランスを保とうとしたが、ちょっとした操作ミスで車体を振り過ぎ、電柱にぶつかって車体後部がめり込んでしまった。それでもネズミ取りを裏切った捜査官は、アクセルを踏み込んで移動を試みた。

 「俺は小田を追う。お前は西野を始末しろ。」三須は短機関銃を右手に持って車を降り、小田とその護衛を追って走り出した。








 ヘリコプターのプロペラ音を消すように、断続的な銃声がグラウンド内に響いた。

 廃校舎の上空を旋回するヘリコプターには二人のSAT隊員が乗っており、その内の一人はH&K社製のPSG-1狙撃銃で地上にいるテロリストと交戦した。彼の隣にいる隊員は豊和工業の89式自動小銃で狙撃手の援護していた。

 上空の二人が地上にいるテロリストの注意を引き、その間に大多和たちの援護に来た5人のSAT隊員が、空に向けてアサルトライフルを発砲しているテロリストの側面に回った。一方の大多和、桑野、池田は後方警戒を頼まれ、三人は片膝をついて周囲に目を配っていた。

 二方向からの銃撃によって、優勢だと思い込んでいた守谷の部下たちは、混乱して四方八方に銃を向けて引き金を引き続けた。この混乱はSAT隊員たちにとって嬉しいものであった。銃弾が頭上を通過することもあったが、下手に狙われるよりも被弾する確率が低くなる。

 地上にいる5人のSAT隊員は、校舎入り口前に置かれた車を利用してテロリストに近づき、パニックに陥っている守谷の部下に銃弾を浴びせた。当初8人いたテロリストは狙撃手によって6人に減らされ、さらに地上のSAT隊員が銃撃を加えると一人また一人と倒れた。

 仲間の死を目にして絶望を感じていた最後の一人が立ち上がり、雄叫びを上げて手榴弾の安全ピンを抜いた。彼は力を振り絞ってそれを数メートル離れた場所にいる5人のSATに向けて投げた。その直後に男はヘリコプターに乗っていた狙撃手に胸を撃ち抜かれ、口から血を吐きながら倒れて息絶えた。グレネードはSAT隊員たちの2メートル手前に落ち、隊員たちは素早く車の陰に隠れて爆発から逃れた。

 銃声は完璧に途絶え、グランドにはヘリコプターのプロペラ音しかない。上空を旋回していたヘリコプターは機体を少し揺らして地上に着地し、乗っていた二人のSAT隊員が地上で戦っていた5人と合流した。

 「校舎内とその周辺を捜索するぞ!」地上にいたSAT隊員の一人が言い、他の6人が頷く。「二人は先着の隊員たちの手当を、その他は俺に続け。」

 指示を受け取ると、ヘリコプターに乗っていた二人のSAT隊員が大多和たちの所へ走った。彼らは緊急医療キットを持っており、重傷者がいればすぐにでもヘリに乗せようと考えていた。一方、地上で戦い続けている5人のSAT隊員は短機関銃の再装填を行い、銃を構えて慎重に校舎の中に入って行った。








 「まだ到着しないのか?」黒田が近くに座っていた女性分析に尋ねた。彼はSAT4名を小田完治警護、そして、西野を拘束するために派遣していた。

 「あと10分程かかる様です。」ポニーテルの女性分析官がパソコンのディスプレイを見つめながら、器用にキーボードを操作している。

 「あれ以降、西野から連絡はあったか?」

 「いえ、ありません。」作業に集中したい女性分析官は黒田との会話を切り上げたかった。

 「そうか…」

 支局長は落胆した表情を浮かべて、背後にある巨大スクリーンへ目を向けた。画面の左端にはグランドホテルで起こった出来事を報じている各局のニュースが表示され、反対側には北海道の道路状況、公共交通機関の運行状況が表示されている。画面の中央には小田完治の移動ルートと現在地の情報が映し出されていたが、分析官たちは議員を乗せた車が5分以上動いていないことに気付いていなかった。しかし、スクリーンを見ていた黒田は気付いた。

 「何故、議員の車が止まっているんだ?」先程まで話していた分析官に問いかけた。

 女性分析官が不機嫌そうな顔をして上司を見た。「もしかしたら、通信の影響で止まって見えているのかもしれません。」

 「確認しろ。」

 口を尖らせて分析官がキーボードを叩く。「通信に問題はありません。GPSの問題―」

 黒田は彼女が話し終える前に空いていたパソコンの前に座り、議員を乗せた車の位置情報を確認した。

 “5分以上前から止まってる…”黒田の背筋に悪寒が走った。

 彼は急いでSPとの連絡を試みたが、誰も電話に出なかった。

 「ヘリの出動要請だ。誰でもいい。手の空いてる捜査官を出し、議員の安全を確保しろッ!」








 拳銃を構え、小木が恐る恐る西野の乗用車に近づいた。

 車内は暗く、同僚捜査官の姿を確認することができない。小木は西野が運転席と助手席の上で横になり、自分を待ち受けているかもしれないと考えた。そこで彼は運転席側の窓とドアに向けて4度発砲した。しかし、反応がない。

 “逃げられた?”

 そう思った時、小野田が破壊した信号機の火がSPの車に引火して小さな爆発が起きた。緊張状態にあった小木は銃口をSPの車に向けた。素早く銃口を元の方向へ戻そうと動いたが、彼の後頭部に冷たく固い物が突きつけられた。

 「銃を捨てろ」西野が言った。彼の声は氷のように冷たかった。

 小木は両目を閉じ、自分の軽率な行動を呪った。組織を裏切った捜査官は拳銃を地面に落とし、それを西野の方へ蹴り飛ばした。

 「両手を頭の―」

 再び西野が口を開くと、小木は頭を左に傾けて銃口から逃げ、左足を軸に半回転して銃を持つ元同僚捜査官と向き合った。彼は素早く西野の銃を右手で掴み、左肘を相手の右側頭部に叩き込んだ。そして、肘打ちの勢いを利用して西野の顔面に入れようと拳を水平に振った。

 同じ訓練を受け者同士、相手の動きをある程度読むことができたため、西野は姿勢を低くして攻撃を避け、立ち上がりながら小木の顎に左掌底を突き上げるようにして打ち込んだ。続いて裏切った捜査官を突き飛ばそうと動いた瞬間、小木が銃の握られている西野の右手の指を殴って拳銃を奪い、そのままUSPの銃床で相手の顔面を殴りにかかった。

 しかし、西野は間一髪のところで上半身を仰け反らせ、銃床が彼の鼻頭をかすめた。小木の攻撃が大振りであったため、西野は相手の手首を左手で掴み、下へ引きながら右腕を小木の肘に押し当てて関節技を決めた。そのまま右足を軸に回転して西野は、元同僚を停車している車に叩きつけた。車体にぶつかる際、小木は右手で受け身を取ったので顔を打つことはなかった。それを予期していた西野は右拳を肘に向けて振り下ろし、裏切った同僚の腕をへし折った。

 呻き声を上げて小木が片膝をついた。その隙に西野は拳銃を取り上げ、有無も言わずに左腕を折られた元同僚の両脚を撃った。激痛に小木は一度体をビクンと反応させて地面に倒れ、撃たれた部分に触れようとしていた。

 「ここで大人しくしてろ。」西野がUSPの弾倉を抜いて残弾を確認した。残り5発。「すぐに小野田も連れて来る…」弾倉を押し込み、捜査官は倒れている元同僚を見た。

 「くたばれッ!!」唾を飛ばしながら小木が怒鳴った。彼の目は血走っており、今まで見たことないほどの憎悪を持っていた。

 しかし、西野はそれを無視して、小木の拳銃を拾い上がると急いで小野田の後を追った。







<次回が本当の最後になると思います。はい。>

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